キャリア監査
面接で聞かれることの構造|質問の裏で何を確認されているか
転職面接の質問は毎回言い回しが変わりますが、確認したい中身はいくつかの型に集約されます。質問の裏にある確認事項を先に把握し、回答の的を外さないための整理です。
この記事の前提
- 想定読者
- 転職活動で面接を控えているが、質問の言い回しに気を取られて、質問の裏で何を確認されているかまで考えられていない30〜40代の会社員
- 読了後の状態
- 面接の質問がいくつかの型に分かれること、型ごとに確認されている中身が違うことを理解し、自分の経験のどこを話すべきかを判断できる状態になること
面接対策の本やサイトを開くと、想定質問集がずらりと並んでいます。「転職理由は」「なぜ弊社なのか」「強みと弱みは」といった項目ごとに模範回答例が付いていて、それを覚えて臨む人も少なくありません。ところが本番では、想定していた質問がそのままの形で来ることはほとんどなく、言い回しを変えられただけで答えに詰まってしまうことがあります。
これは、質問の文言を覚える対策そのものに無理があるからです。面接官が知りたいことは限られていますが、それを尋ねる聞き方は無数にあります。同じ確認事項でも、面接官によって「転職理由を教えてください」とも「今の仕事で不満な点は」とも聞かれます。文言を暗記するより、質問がどの確認事項に属するかを見分けられるようにしたほうが、初見の言い回しにも対応できます。
質問の言い回しは変わるが確認事項は限られている
面接の質問は、大きく分けると「能力の確認」「動機の確認」「適合の確認」「再現性の確認」の4種類に収まります。「これまで何をしてきたか」は能力の確認、「なぜ転職するのか」「なぜこの会社か」は動機の確認、「チームでどう動くか」は適合の確認、「その成果は環境が良かっただけではないか」は再現性の確認です。
想定質問集を丸暗記する代わりに、いま聞かれている質問がこの4つのどれに属するかをその場で判定できると、初めて聞く言い回しにも対応できます。「休日は何をしていますか」という一見雑談に見える質問も、多くの場合は適合の確認(社風や働き方に馴染めそうか)に属しています。カテゴリが分かれば、答える方向を大きく外すことはなくなります。
「なぜ辞めるのか」で確認されているのは辞める理由そのものではない
転職理由を聞く質問は、辞める理由そのものより、その理由が入社後に再発しないかを確認するために存在します。「人間関係が理由です」と答えたときに面接官が気にしているのは、次の職場でも同じ理由で辞めるのではないかという点です。
そのため、辞める理由を正直に話すこと自体は問題ではなく、その理由が今回の応募先では発生しにくい、あるいは自分の側で対処できる、という説明が伴っているかどうかが評価を分けます。理由を隠して当たり障りのない回答に差し替えるより、理由と、その理由への向き合い方をセットで話すほうが、再発しない根拠として伝わります。
「何をしたいか」で確認されているのは応募先の仕事内容を理解しているか
志望動機や入社後にやりたいことを聞く質問は、意欲の強さそのものより、応募先の仕事内容を正しく理解した上で話しているかを確認しています。「成長したい」「貢献したい」という言葉は意欲の表明にはなりますが、応募先でなくても成立してしまう内容のため、理解度の証明にはなりません。
応募先の求人票や事業内容から、自分の経験と接続できる具体的な業務を1つか2つ挙げて話すと、応募先を理解した上での動機だと伝わります。ここで挙げる業務が、自分の職務経歴書で重点的に書いた経験と一致しているかどうかも確認しておく必要があります。職種ごとに何を重点的に書くべきかは、職務経歴書は職種で何を変えるかで整理しています。
経験を聞く質問で確認されているのは結果ではなく判断の過程
「困難だった経験」「最も成果を上げた経験」を聞く質問は、結果の大きさより、その結果に至るまでにどう考え、何を判断したかを確認しています。成果の数字だけを話して終える回答が伸び悩みやすいのは、判断の過程が語られていないためです。
面接官が知りたいのは、同じような場面が応募先で起きたときに、その人がどう動くかの予測材料です。過程を語らずに結果だけを話すと、環境が良かったから出た結果なのか、その人の判断によって出た結果なのかを判別できません。この違いを言葉にする作業は、面接直前ではなく、職務経歴書を書く段階の棚卸しで済ませておくと、面接でも同じ材料をそのまま使えます。棚卸しの手順はキャリアの棚卸しは何から始めるかで扱っています。
質問の重心は職種によって変わる
4つの確認事項の配分は、職種によって重心が変わります。数字を扱う職種では能力の確認に時間が割かれやすく、対人折衝が中心の職種では適合の確認に時間が割かれやすくなります。管理職やマネジメント経験者への面接では、再現性の確認(部下や環境が変わっても同じ成果を出せるか)の比重が上がる傾向もあります。
自分の職種でどの確認事項が重視されやすいかを事前に把握しておくと、限られた面接時間の中でどこに時間を割いて話すかの優先順位が付けやすくなります。これは職務経歴書で重点を置く場所とも重なるため、書類の段階で決めた重点をそのまま面接の準備にも流用できます。
逆質問は情報収集ではなく評価の材料にもなっている
面接の最後にある「何か質問はありますか」という時間は、応募者が情報を得るための時間であると同時に、面接官が応募者を評価し続けている時間でもあります。ここで待遇や休日日数だけを尋ねると、意欲より条件を優先している印象を与えることがあります。
逆質問で確認すべきは、面接中に話された内容から生まれた疑問です。「先ほどの話に出た〇〇について、実際にはどの部署が担っているのか」のように、その場の会話から出た質問は、話を聞いていた証拠にもなります。年収や働き方など、条件面で譲れない確認事項がある場合は、面接の場よりもキャリアコーチングと転職エージェントの違いと使う順番にあるような、間に立つ相談先を通じて確認したほうが、面接の評価に影響を与えずに済みます。
次にやること
想定質問集を覚え直す前に、直近の職務経歴書やキャリアの棚卸しで書いた内容を見直し、能力・動機・適合・再現性の4つの確認事項それぞれに対応できる経験が1つずつあるかを確認してください。足りない項目があれば、面接の受け答えを練習するより先に、その経験をどう言語化するかを詰めておくほうが効果があります。転職によって年収が上がる場合と下がる場合の違いを踏まえて回答を準備したい場合は、30代で年収を上げる転職と下げる転職は何が違うのかも合わせて確認しておくと、面接で条件面を聞かれたときの受け答えが安定します。